妊婦・授乳婦に使える抗インフルエンザ薬は?

冬に猛威を振るうインフルエンザ。

毎年多くの方が亡くなってしまう怖い病気ですが、インフルエンザにはいくつかの治療薬があります。

しかし、妊婦や授乳婦は胎児や赤ちゃんへの影響からすべての薬が使えません。そういったかたに安全に使える薬はどれなのかを調べてみました。

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インフルエンザ薬の種類

昔はインフルエンザに使える薬はタミフル一択だったのですが、今は内服以外にも薬があります。

内服薬→タミフル(後発:オセルタミビル)、ゾフルーザ

外用薬→リレンザ、イナビル

注射薬→ラピアクタ

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添付文書はどうなっているか?

薬のことを調べるならまず何より添付文書です。それぞれの添付文書には以下のように書かれています。

タミフル

9.5妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性に投与する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で胎盤通過性が報告されている。

9.6授乳婦

治療の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行することが報告されている。

タミフルカプセル 添付文書より

ゾフルーザ

1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に投与する場合には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験(ラット,ウサギ)において,催奇形性は認められなかったが,ウサギにおける高用量投与で,流産及び頚部過剰肋骨が報告されている3)。また,ラットにおいて胎盤通過が認められている4)。]

2.授乳婦に投与する場合には授乳を避けさせること。[ヒト母乳中への移行は不明だが,ラットで乳汁中への移行が報告されている4)。]

ゾフルーザ 添付文書より

イナビル

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で胎盤通過性が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。

イナビル 添付文書より

リレンザ

1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に投与する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験(ラット、ウサギ)で胎盤通過性が報告されている。]

2.授乳婦に投与する場合には授乳を避けさせること。[授乳婦に対する安全性は確立していない。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。]

リレンザ 添付文書より

ラピアクタ

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性に投与する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラットで胎盤通過性、ウサギで流産及び早産が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ラットで乳汁中に移行することが報告されている。

ラピアクタ 添付文書

当たりまえですがどの薬剤も「大丈夫です!」とは書かれていません。医薬品の臨床試験で妊婦や授乳婦のデータを十分に取れません。

ラットでは~、ウサギでは~と書かれているものがほとんどですが、ヒトではどうなのか?まではわかりません。

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今日の治療薬に記載されてるグレードは?

薬剤師必携の本のひとつである「今日の治療薬」には、アメリカの基準だったりオーストラリアの基準だったりしますが、妊婦や授乳婦への安全度を示すグレードが記載されているものがあります。

インフルエンザ薬についてを抜粋すると、

タミフル…妊:豪B1 授乳L2

リレンザ…妊:豪B1 授乳L2

ラピアクタ…妊:豪B3 授乳記載なし

イナビル…妊記載なし 授乳記載なし

ゾフルーザ…妊記載なし 授乳記載なし

今日の治療薬2020より抜粋

豪B1…妊婦及び妊娠可能年齢の女性への使用経験はまだ限られているが、奇形やヒト胎児への直接・関節的有害作用の発生頻度の増加は観察されていない。動物を用いた研究では、胎仔への障害の発生が増加したという証拠は示されていない。

豪B3…妊婦及び妊娠可能年齢の女性への使用経験はまだ限られているが、奇形やヒト胎児への直接・関節的有害作用の発生頻度の増加は観察されていない。動物を用いた研究では、胎仔への障害の発生が増えるという証拠が得られている。しかし、このことについて、ヒトに関しての意義ははっきりしていない。

授乳L2…概ね適合(少数例の研究に限られるが、乳児への有害報告なし。リスクの可能性がある根拠はほとんどない)

これによるとタミフルやリレンザなら妊婦B1、授乳婦L2なので、比較的安全では?と考えることができます。

イナビルは避けたほうがいい?

イナビルは今日の治療薬にも記載がなく、添付文書や「イナビル吸入粉末剤20mg」のよくある質問でも避けたほうが…という印象を受けます。

しかし日経メディカルにこういう記事も載っており、使えるのか使えないのか正直なんとも言えません。→授乳婦においてイナビル投与の安全性は高い

臨床経験豊富な医師なら判断できるのでしょうか…。

授乳婦なら服用中はミルクに切り替えるという手も

授乳婦なら普段はおっぱいで育てていても薬を服用中はミルクに切り替えるという手段もあります。

乳汁に移行する薬でも赤ちゃんが飲まなければ大丈夫です。

薬を服用中だけでなく服用終了後からしばらく(一般に半減期の5倍の時間で体内から消失されると言われているのでそれ以降)してから授乳を再開すれば、赤ちゃんへの影響を気にせず服用が可能です。

とはいえ患者さんそれぞれの考えもあると思うので医師とよく相談することが大切です。

参考にしたもの

添付文書

今日の治療薬2020

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